北海道外との感覚のズレ
北海道は広大な大地で知られ、都市と都市の距離が広いことで有名です。
その為、道幅も広く直線道路も沢山あります。

のろクン!今度札幌と旭川と釧路に行こうと思うから美味しいごはん屋さん教えてー!!

僕…札幌出身なんだけど…

2泊3日で初日は札幌でスープカレー食べて、函館の夜景見て朝市に行って釧路で…

いやそれ最低でも4.5日は欲しいやつ…無理無理…
こんな内容を北海道出身で他府県に住んだことのある方なら誰しも一度は言われたことのある内容で、一時ネットでも出回ってさんざん擦られた会話でもあるのですが念の為今一度…

こういうことですね。
東京の人に大阪の美味しい食べ物を聞いているのと同じことっていうお話でした。
東京に10年と少し住んでいましたが、埼玉県のオススメを聞かれても正直自信ありません…
そう考えるともう20年位前の札幌の公立高校の話ですが、札幌から飛行機で京都まで行って京都の町並みを観て1泊して、新幹線で東京に行ってディズニーランドに行って寝台列車で札幌に帰って来た僕の時代の弾丸修学旅行は凄いですね…
私立高校以外は他の学校もだいたい僕の時代はそんな感じだった記憶です。
日本一長い直線道路のバーチャルドライブ動画
今回ご紹介する【日本一長い直線道路(国道12号線)】を実際に走行したYouTubeチャンネル「のろちゃんねる」のバーチャルドライブ動画(車載動画)のリンクを張ってありますので是非そちらと合わせてお読みいただければと思います。
日本一長い直線道路ってどこにある?
道内最長にして国内最長の道路
本題に戻しまして、【日本一長い直線道路】のお話です。
北海道は約83,450 km²の面積で何を隠そう都道府県の中で日本で一番広く、日本国民誰しもが広大な田畑が両脇に広がる長くて広い道を想像出来ると思います。
その中でも【日本一長い直線道路】と言われると有名な道路で言えば、富良野と呼ばれる国道237号線を上富良野から美瑛へ走る「ジェットスターの路」、知床半島への入口でオホーツク海を走る国道334号線の「天に続く道」、石狩から北部へ日本海沿いを走る「日本海オロロンライン」などが有名です。



「ジェットコースターの路は」 直線距離4km程、「天へ続く道」は 直線距離28.1km、「日本海オロロンライン」は全長約300kmと言われていますが、そもそも直線では無いので直線という意味ではせいぜい 直線距離15km程です。
何となく直線の長い道路は北海道に数多く存在しますが、中でも最長でしかも【日本一長い直線道路】というのが国道12号線の美唄市から滝川市を結ぶ直線距離29.2kmの直線道路です。
ちなみに世界レベルでいうと直線道路ランキング1位は「サウジアラビアのハイウェイ10」(約259km)、2位「オーストラリアのエア・ハイウェイ」(約146km)、3位「アメリカのハイウェイ46」(約57km)だそうです。
世界は恐るべしですね…
日本一長い直線道路が囚人道路といわれる暗い歴史
先程、美唄市から滝川市とお伝えしましたが、もう少し正確に言うと 「美唄市光珠内から滝川市新町まで」になり、高速を使わずに札幌から旭川に行く場合にはまず通るであろう国道12号線上の1区画を表します。
詳細は諸説ありますが【日本一長い直線道路】をお伝えするにあたり避けて通れない歴史的な事実があります。
※この後、当時の暗い歴史に少し触れますので苦手な方はどうぞ飛ばして下さい。
この道路が経緯が少し複雑で、元々は北海道開拓初期には道路も鉄道もまだ無く、石狩川を船で進も方法が一般的でした。
北海道開拓と同時期に建てられた樺戸集治監(カバトシュウジカン=美唄市西部の現月形町にあった明治時代に囚人を収容する為に建てられた監獄)の囚人500人によってまずは87.9kmを90日間で作られたそうです。
道幅約2mで仮開通させたものをその後、空知集治監(ソラチシュウジカン)を加えてさらに通りやすいように改修が行われたそうです。
この時の上川道路工事復命書の中に「…ナルベク直線道をト為スヲ主トシテ…」とあったことからこれほどまでの直線になりました。
囚人は当時の明治政府に対する政治犯が多く、満足な食事も与えられず、ヒグマが潜む未だ未開の密林を手作業で切り開くという強制労働だった為、多くの犠牲者が出たそうです。
現在は改修されていても元はその様な経緯で作られた道路は北海道には他にもいくつか記録に残っており、北見峠から網走方面へ抜ける「国道333号線」も囚人の強制労働により作られた道路だそうです。
囚人への強制労働は過激なもので、鎖をつけたまま強制的に働かされ、囚人が亡くなってしまった後も鎖をつけたまま埋葬されたことから、昭和以後地元民がトラクターで農作業をしている時などに鎖が発見されたこともあると言われています。
明治時代中期には多くの住民の反対から強制労働は無くなったとされ、諸説ありますが、北海道という土地柄から満足のいく働き手が確保できず、騙したり連れ去ったりして狭い部屋に複数人を閉じ込めて強制的に働かせるいわゆる「タコ部屋」の様な形で働かせることもあったようです。
そのため、昭和43年に北見市に犠牲になった囚人の慰霊として「鎖塚」、昭和44年には空知市には「上川道路開鑿記念碑」が建てられています。
その後、様々な技術の発達により平成2年、滝川バイパスが開通しそれまでの27.7kmから29.2kmに延長され、鉄道で日本一長い直線とされるJR室蘭本線沼の端~白老間の28.736kmを超える長さとなっています。
日本一長い直線道路の途中通過地点
美唄市光珠内のスタート地点
札幌方面から「国道12号線」を北上し「JR函館本線 光珠内(コウシュナイ)駅」を越えた辺りが【日本一長い直線道路】のスタート地点です。
突如左手に大きな青と緑の看板が出現します。

美唄市と言えば郷土料理の「美唄やきとり」が有名で、北海道室蘭市と並び「全国7大やきとりの街」として知られています。
明治の開拓時代に、国がそれぞれの家につがいの鶏を支給したことがはじまりと言われ、いわゆるハレの日に大切に食べられていたそうです。
発祥は1955年頃と言われており、当時やきとり屋台を営んでいた店主が精肉以外の内臓や皮を廃棄していたのをもったいないと思い内臓を使った「モツ串」を提供したのが始まりと言われ、当時全国でも有数の炭鉱の町として知られていた美唄市の炭鉱労働者が好んで食べていたとそうです。
今では道内各所で「美唄やきとり」として居酒屋や専門店で食べることが出来ますが、地元の人はパーティーや冠婚葬祭などでも美唄のソウルフードとして大人から子供まで幅広い世代に好まれています。
数多くある美唄やきとり専門店の中でも「やきとり たつみ」と「美唄やきとり 福よし」は有名で、2012年2月2日読売テレビ放送【秘密のケンミンSHOW】で両店が紹介されています。
オンラインショップでのお取り寄せや、「美唄やきとり 福よし」は札幌にチェーン展開しています。
鶏肉と、鶏レバーや内卵、砂肝、心臓などの内臓とタマネギを一つの串に刺して焼くのが「美唄やきとり」の特徴です。

”焼き鳥”と”やきとり”の違い
ここで少し余談ですが、この記事の”ヤキトリ”の文字はすべて「やきとり」となっていることにお気づきでしょうか?
結論から言いますと正確には、
「焼き鳥」は鳥肉(鳥の内臓も含む)にタレや塩などをつけ、串に刺して焼いた料理で
「やきとり」は鳥肉、鳥・牛・豚などやその内臓にタレや塩などをつけ串に刺して焼いた料理だそうです。

北海道旅行でやきとり屋さんにで盛り合わせを頼んだら豚肉にタマネギを刺したのが入ってた!
やきとり屋さんなのに!!
これも北海道外の旅行者に方によく言われることですが、あながち間違えてはいないということですね。
とは言え北海道のやきとり屋さんもメニュー表には「豚精」や「豚バラ」という表記がありながらも看板には「焼き鳥」としているお店も沢山ありますのであくまでトリビア的な話ですね。
中間地点「道の駅 ハウスヤルビ奈井江」
「国道12号線」をさらに北上し「JR函館本線 奈井江駅」を越えた辺りが中間地点です。
スタート地点と同じく看板が見えてきます。

看板の後ろにはログハウス風の道の駅「ハウスヤルビ奈井江」があり、奈井江の農産物・特産品の販売や、ドッグラン、札幌を中心に道内6店舗、海外はタイに2店舗出店中の「らーめんがんてつ」もあります。
「ハウスヤルビ奈井江」の名前の由来は奈井江町の姉妹都市であるフィンランドの町、「ハウスヤルビ」(フィンランド語: Hausjarvi)からきています。

「道の駅 ハウスヤルビ奈井江」の背後には広大な畑と遥か遠くには神居尻山が見渡せます。
自然に親しみながら遊べる広大な公園「北海道子どもの国」
【北海道子どもの国】は砂川市にある公園で、237ヘクタールの広大な敷地にピサの斜塔・ピラミッドなど「世界の7不思議」の遊具を配したふしぎの森や冒険広場(トリムコース)や、園内にはキャンプ場・レストハウス・北海道立青少年体験活動支援施設ネイパル砂川などを完備しています。
札幌から旭川間を国道12号線とほぼ並走して走る道央自動車道砂川サービスエリアから連絡通路で繋がっているためアクセスも便利です。
国道と高速道路を使わずに【北海道子どもの国】まで行く裏道(砂川奈井江美唄線)を走行したYouTubeチャンネル「のろちゃんねる」のバーチャルドライブ動画(車載動画)のリンクを張ってありますのでそちらも是非御覧ください。
その他にもスイーツが楽しめるお菓子屋さんやカフェ約20店舗が立ち並ぶ「すながわスイートロード」や鮮魚店直営の「カネイ池内商店」など食事処も沢山あります。
ゴール地点滝川市
滝川市は人口38,965人(2021年)で、中空知地域の中心都市です。
スカイスポーツをテーマにした日本初の公園「たきかわスカイパーク」

「グライダーの街」としても知られる滝川市。
滝川市は昔から集中豪雨による水害が多発していました。
1981年、当時の滝川市長が水害の被害状況を石狩川河川敷の上空から視察した際に「子どもたちの為に滝川市に飛行場をつくれば地域活性化に繋がるのではないか」と思い立ち、翌年の1982年に「滝川航空協会」を設立、「滝川滑空場」をスタートさせます。
幸いなことに滝川市周辺は広い土地に恵まれ、航空管制の制約も少なく、上昇気流も発生しやすいことからグライダー飛行にとって好条件だった事も重なり【たきかわスカイパーク】が誕生することとなりました。
総面積約50haの広大な敷地内には遊歩道やブランコなどの遊具、滝川市航空動態博物館(たきかわスカイミュージアム)、ミュージアムショップ、レストランなどさまざまな施設が揃っており、滑走路に隣接したカフェテリアでは、コーヒーを飲みながら上空を飛ぶ飛行機たちの様子を一望する事ができます。
グライダーは軽飛行機に曳航(引っ張り上げられる)されて上空約500mまでそこから単独飛行に変わります。
エンジンではなく、上昇気流をつかまえて飛行する為、エンジントラブルによる事故がありません。
また、飛行速度や着陸速度がゆっくりとしている為、空を飛ぶものの中でもっとも安全性の高い乗り物と言われており、滝川市は「日本一気軽に楽しめるグライダー体験」で知られ数多くの飛行体験プログラムが実施されています。
日本一長い直線道路ゴール地点
砂川市と滝川市を分ける「空知川」を渡った先がゴール地点です。

【日本一長い直線道路】北海道の美唄・滝川を結ぶ囚人道路まとめ
【日本一長い直線道路(国道12号線)】はのどかな田園風景から都市部へと繋がる文字通りの直線道路です。
開拓民の努力により作られた道路で現在普通に走行しているだけでは計り知れない歴史があります。
旭川方面への移動には札幌から2時間程度で移動できる「道央自動車道」を使うのが一般的ですが、時間のある方はこの国道12号線や「砂川奈井江美唄線」も利用してみてはいかがでしょうか?
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